日影

542-怪猫土耳其洽场

’75年、山口和彦監督作品。
  面白いのは、エドガー?A?ポーの『黒猫』をちょっと変えた設定になっていたところ。
  ポーの『黒猫』では壁に無残に殺された猫が埋められるところで、この作品では女の死体が埋められる。
  そして壁の染みに付いた黒猫の血によって、呪いが始まるのだった。なかなか興味深い設定だった。
  コ風呂ストーリー???
  赤線の全国廃止により、足を洗うことを決めた雪乃(谷ナオミ)であったが、恋人、鹿内(室田日出男)の借金返済のために、新装開店のトルコ風呂“舞姫”に出戻りするはめに。
  だが実は鹿内は、雪乃を金づるにしていただけであった。その上、東北からはるばる東京に上京したばかりのおぼこ娘、雪乃の妹の真弓(大原美佐)の処女すら奪ってしまう鬼ぶり。
  トルコ風呂の後妻、女将の浮気相手になった鹿内は、用ナシとばかりに、雪乃を折檻死に到らしめ、壁に埋めてしまう。
  真弓だが事の真相を全て知っているとばかりに、雪乃の愛猫、クロが神出鬼没するようになる。
  そして、雪乃の妹の真弓もまた、事の次第を探ろうと、トルコ風呂で働き、店一番の売れっ子になるが???
  この作品、ホラーとエロが一体となった、奇妙に素敵な作品であった。
  成人映画指定で、エログロ描写も満載。
  折檻雪乃が縛り上げられて吊るされ、折檻されるシーンでは、『インプリント/ぼっけえ、きょうてえ』を思い出した。
  また、柿沼の娘、夏代(東てる美)の部屋(引っ越した先の新しい方の家)のアートワークは、色使いといい、内装の装飾品、家具調度といい、『キル?ビル』のアニメ描写の部分で登場した家に、クリソツだった(タランティーノがいかにも喜んで日本のアニメーターに指示出した情景は、想像に難くない)。
  トルコ舞姫冒頭から途中途中のそこかしこに、『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌そっくりな“ピヨーン、ピヨーン”と言う音が導入されているんだけど、変わった音響もまた面白い。
  私が見た回は、元々、皆この映画を好きな方がいっぱいだったのか、随所随所で笑い声がたくさん聞かれて、それもまた楽しさに拍車をかけた。
  黒猫のアクションシーンもまた楽し。どう見ても普通の猫が投げられているというか、空を切って飛んでいたね。
  壁から登場のシーンや雷と共に登場の化け猫も、なんだか出てくる毎に愛おしくなり、その度に沸く自分ww
  山城山城新伍(“若ダンナ”)の登場はおいしすぎる(笑)
  ホラーやグロシーンに中途で挿入される、エロを兼ねた笑い部分で。
  緩急がつけられて、見ていてホッと面白くなる。シツコさもなくちょうどいい。
  いわばスイカにかけた塩、あんこに加えた一つまみの塩のように、うまい具合にマッチしていた。
  ところで、アワ踊りってww
  あれ、ホントに気持ちいいものなの?画的には面白いけど(笑)

 

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